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【大飯弾圧控訴審】控訴理由書をアップしました。判決公判は2月13日14時15分〜名古屋高裁金沢支部

2013年12月5日、大飯弾圧の控訴審が始まった。
が、検察も裁判官も新たな書証の提出も証人の申請も認めず、ものの3分で終了。
それをもって「結審」とし、次回期日の2月13日(木)14時15分〜は、いきなりの判決公判となった。

このような『再審制度』に、果たして意味はあるのか?



弁護人による控訴理由書は、以下の通り。





名古屋高等裁判所金沢支部御中
平成25年(う)第51号
被告人 川﨑 二男
(罪名)器物損壊、傷害、脅迫、暴行

控訴理由書

                 2013(平成25)年10月  日
                   被告人  川 崎 二 男
主任弁護人  堀   和 幸
                   弁護人  笠 原 一 浩
はじめに
 今日の日本社会は、2011年3月11日の福島での原子力発電所でのシビアアクシデントによって、日本社会の完全崩壊に向かって進行している。この基本認識を欠いたままでは、どのような行政の施策や電力会社などの泥縄的対処や延命策も焼け石に水でしかあり得ない。
 この9月にはIOC総会において、2020年東京オリンピック招致のための演説を安倍首相が行い、「福島の破壊した原子力発電からの放射能汚染は完全にコントロールされている」との虚偽の演説を行っている。この演説に対しては、事故当事者である東京電力でさえ「放射能汚染の拡大は完全にコントロールしている」と追認・肯定するコメントを記者会見等で行うことはできなかった。今でも放射能に汚染された地下水が日々300t以上も太平洋に止めようもなく垂れ流されている。また、タンクからの汚染水の漏出など、次から次へと問題が日々発生している。
 安倍の演説は、一人安倍だけの個人的問題に留まるものではない。時の総理大臣=安倍首相の発言である以上、全世界に対する日本社会の発信となるのであり、今日の日本社会が総体としてフクシマ・シビアアクシデントに対して無為無策のままで、自分自身と日本社会さらには全世界に対して公然たる嘘を公言すると共に、自らを自己暗示にでも掛けていなければ直視できないほどの酷い現実にあることをさらけ出している。
司法・裁判所が事ここに至ってもこの現実と向き合うことなく、従来のままで「ヒラメ裁判官」との蔑称に甘んじることを続けることは、現行の「法制度・法治国家の維持」などを表看板にして、崩壊に向かう社会に棹さす行為でしかない。
日本政府が準拠しているICRPの勧告では、自然放射線に加えて、人工放射線による追加被ばくの限度としているのが、年間1ミリシーベルトである。ウクライナでチェルノブイリ事故後に制定された法律(「チェルノブイリ原発事故被災者の状況とその社会的保護に関する法」。以下「チェルノブイリ法」とすることがある。ロシアやベラルーシでも同趣旨の法律が制定された。)、1ミリシーベルト以上の地域は「移住の権利区域」と呼ばれ、国の支援のもとに移住できることになった。さらに、年間1ミリシーベルト以下でも、胎児や子どもを中心に、ガンを含めたさまざまな病気など、健康への影響を受けるリスクがあるとされている。
日本で2012年6月に成立した「原発事故子ども・被災者支援法」では「放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていない」からこそ、避難や移住を選ぶ人も、住みつづける人も、元いた場所へもどる人もどの人も、国の責任で必要な生活支援を受けることができる、と認められた。
しかし、日本各地に広がった放射能汚染は1ミリシーベルトの基準を大きく超えたままである。除染をしても大きな効果はなく、子どもを含めた多くの人たちが、そこで生活し続けている。避難しても、生活も成り立たず、危険がわかりながらも帰る人もふえた。この日本で、多くの人たちが健康や将来への不安の中で苦しんでいる。

東京電力は、率先してフクシマ・シビアアクシデントの被害者に賠償を行うべき所をできる限り少額に被害認定を少なく見積もり、さらには賠償の請求を先延ばしにさせようとしている。これが3.11までは日本に10社だけの地域独占企業集団である電気事業連合会の会長を出していた企業の姿なのである。
事故後の東京電力は、国の最高意思決定機関である国会が行った事故調査委員会に対してさえ調査を妨害するような行動を行ってきた。
「福島原発事故の国会事故調査委員会は、2012年3月初めに福島原発1号機の原子炉建屋4階の現地調査を行う予定でしたが、東京電力から、現場は現在建屋カバーのために日が差さず真っ暗で照明もないと説明され、爆発等によって床に穴が開きがれきが散乱する中を現場を初めて見る人間が東京電力の案内もなく懐中電灯だけで1階からの高さ21mの原子炉建屋4階を調査することは危険だと判断して、1号機原子炉建屋4階の現地調査を断念しました(現地調査自体は、調査場所を1号機・2号機の中央操作室と5号機にして行われました)。しかし、この東京電力の説明が真っ赤な嘘であったことがわかりました。
 私たちは、国会事故調の一員として、調査対象である東京電力の言葉を鵜呑みにしてきたわけではありませんが、事故についてではなく、事故後の調査についての協議で現在の現場の状況を説明する話までが真っ赤な嘘だというのは想像できませんでした。といいますか、そこまで疑わなければならないとしたら、そもそも事故調査というもの自体がほとんど不可能になります。人間として、組織として最低限の信義というものさえ、東京電力にはないのかと、改めてあきれ果てました。」(弁2=伊東良徳弁護士(第二東京弁護士会)論文=の1p冒頭部分)

 日本に10社ある電力会社の内、原子力発電を行っている残り8社の対応も推して知るべきなのである。現実に関西電力は2012年7月の再稼働前後に「活断層がある可能性」が指摘され時の行政が専門家を交えて検討しようとした時、その会議に関電が所持している過去の調査結果の報告書やデータを提出しなかった。福島原発で事故を起こした東京電力だけでなく、電力料金が総轄原価方式によって赤字にならないように保証されている地域独占企業としての圧倒的優位性をフルに活用して自己の利益をトコトン追求する事を至上命題にやりたい放題を行っている。現在の電気事業連合会の会長企業である関西電力も同じである。

 2012年6月30日からの大飯原発正門ゲートの占拠=封鎖は7月1日の再稼働を阻止する為の直接の実力行動だった。現実に再稼働に向けて入らなければならない多数の作業担当者や行政の検査員などは、正門からはいることができずに、海から原発敷地内に入るしかなかった。さらにエポック的には、再稼働儀式に立ち会う関電社長の八木誠や経産副大臣の牧野聖修が堂々と正門ゲートから入れず、小さな船で海から入らざるを得なかった。
 原子力発電で最も危険性のある作業といわれるのが、稼働時と停止時であることは周知の事実である。正門ゲートが封鎖されたままの再稼働は緊急事故が発生した場合に発電所内にいる全人員を緊急に避難させる経路が封鎖されたままのきわめて危険な作業の強行である。私はもちろん緊急事故が起きることなどは望んでいない。わずか20数人しか乗ることができない小さな漁船を改造したクルーザーでピストン輸送するしかなかった。陸路なら入った場合には乗ってきた大型バスや乗用車・作業車などで一斉に避難が可能なのである。
 このようなことが明らかなのにも関わらず再稼働を強行したことは、野田首相をはじめとする行政や関西電力の再稼働宣言をただただ彼らのメンツ保持のためだけのものでしかない。

第1 訴訟手続の法令違反(刑事訴訟法379条)
 1 反対尋問権の侵害(遮蔽措置)について
  ① 原審でも指摘したとおり、原審は、本件における「被害者」、「目撃者」らの証言の際、証人と被告人及び傍聴者との間を遮蔽する措置を講じた。
  ② しかし、この措置には何の正当性もなく、逆に、弁護人、被告人からの反対尋問を著しく非効率なものにさせ、反対尋問権、防御権の侵害となることはもとより、実体的真実の発見にも多大の支障を生じたことは明らかである。
  ③ よって、正義・公平の見地から、前記証人らの証言は証拠から排除されるべきであり、したがって、原判決が同証言を証拠として採用したことについては、訴訟手続の法令違反があり、かつ、原判決が同証言によって事実認定を行った以上、その違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。
 2 ●●映像について
  ① 押収手続の違法性
   ア 原審でも指摘したとおり、報道機関の収集したフィルム、写真などの押収については、それが憲法に保障された表現の自由、報道の自由、知る権利などを侵害するおそれが大きいことから、最決昭44・11・26は「報道機関に対する取材フィルムの提出命令が許容されるか否かは,審判の対象とされている犯罪の性質,態様,軽重及び取材フィルムの証拠としての価値,公正な刑事裁判を実現するにあたっての必要性の有無を考慮すると共に,これによって報道機関の取材の自由が妨げられる程度,これが報道の自由に及ぼす影響の度合いその他諸般の事情を比較考量して決せられるべきであり,右フィルムを証拠として使用することがやむを得ない場合であっても,それによって受ける報道機関の不利益が必要な限度を超えないように配慮されなければならない。」と判示し、報道機関への捜索差押については厳格な要件を課している。
イ ところで、●●映像を撮影した●●●は、インターネット映像を通じて、原発反対関連の集会、抗議行動、講演会等を中心に、大手メディアで放映されない情報を発信している市民ジャーナリストであり、本件●●映像も、前記のような公共の目的を持ったジャーナリストの業務の一環として撮影されたものである。
ウ そして、原審でも主張したとおり、本件には大飯原発の再稼働の当否という政治的社会的問題が背景にあること、比較的軽微な事案であること、●●映像の証拠としての必要性は高いとはいえないこと、これに対し、本件差押後●●氏の取材や情報発信行動は事実上不可能な状態になる等、本件差押により報道機関である●●氏の取材の自由が妨げられたことは明らかであるから、本件を記録したSDカードなどを正当な理由なく押収することは、憲法に保障された表現の自由、報道の自由、知る権利等を侵害するものであることは明らかである。
エ この点につき、原判決は、「本件捜索差し押さえにより●●が受けた不利益は,●●映像をインターネット等を介して広く世間に伝える機会が奪われるというものではなく、将来の取材の自由が妨げられるおそれがあるという不利益にとどまる。この点、●●は、本件捜索差押えのあった平成24年秋以降、取材現場で抗議行動家にカメラを向けると非難され撮影を拒否されるようになった旨述べている。しかしながら、仮に、●●が取材活動を行うに当たってそのような変化があったとしても、本件の捜索差押えとの結びつきは『平成24年秋以降』という漠然とした時期的な符合しかない上、●●自身も、本件捜索差押えが原因だと考える根拠を検察官から問われた際、今回の押収だけが原因のすべてだとは言っていないと供述するに止まり、直接的かつ具体的な結び付きは何ら示せていない。」(8p)などと判示している。
オ ●●は、原判決も認めるように、「平成24年秋以降、取材現場で抗議行動家にカメラを向けると非難され撮影を拒否されるようになった旨述べている」のである。すなわち、現に将来の取材の自由が妨げられたのであって、決して「おそれがある」にとどまるものではない。しかも、非難の内容は、「そういったような人たちが取材に行くと,どこに行っても歓迎されるといった状態でしたが,その秋以降は風向きが変わったと言いますか,私自身が取材現場でカメラを向けると逆に抗議行動してる方から非難される,「撮るな」と強い調子で拒否されると,そういったような変化が生じました。」(●●調書10~11p)というものである。これまで歓迎していた市民が撮影を非難し、拒否する理由として、本件捜索差押え以外に合理的な説明をすることは困難である。ましてや、「今回の押収だけが原因のすべてだとは言っていない」という証言を口実とした認定に至っては、本件捜索差押えによって取材が困難になったという●●証言全体の文脈を無視するものであって、当該証言が検察官の誘導によってなされたものを看過するものである。
カ そもそも、ある報道機関が撮影した映像のデータなどか押収され、これが刑事裁判での有罪の立証のための証拠として採用されるということになれば、当該報道機関は、その後、取材先から警戒されて事実上取材が不可能となり(本件のように、取材対象や内容が、国家権力からの弾圧の対象となる可能性の高い事案については、特にそうである。)、ひいては情報発信も不可能になることは容易に想像できることであり、原判決のように、本件差押えによる取材活動への影響を軽視することは許されないというべきである。
キ しかも、原判決では、押収された取材データがあたかも削除した当該データのみのように記載されているが、押収されたデータは志村直彦が10月4日に作成した捜索差押調書によると、全部で14点物品が押収されたのであり、荒川公判供述と検甲56号証解析結果報告書で明らかなように膨大な取材映像が保存されており、そのすべてが発表の時期を逸する結果になったのであり、原判決はこの点をも看過している(刑訴法382条・事実の誤認にも該当する)。
ク 以上述べたとおり、●●映像の押収には、令状主義を没却する重大な違法があり、原判決が同映像を証拠として採用したことについては、訴訟手続の法令違反があり、かつ、原判決が違法収集証拠である●●映像によって事実認定を行った以上、その違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。
  ② 法的関連性
   ア 電磁的データの証拠能力については、源データ(本件でいえば、●●宅から押収されたSDカード)を証拠(本件でいえば検甲61号証)に編集する過程で、源データに対する損壊、変容、改竄などがないということが大前提となっているところ、本件においては、この点についての立証が不十分であるから、●●映像は証拠として採用すべきではないことは原審でも主張したとおりである。
   イ なお、別紙①は、検甲61号証のプロパティーをプリントアウトしたものであるが、ここには、作成、更新、アクセス日時の記載がなく、したがって、いつ、作成、更新などがなされたかが不明である。
   ウ 更に、原判決は監視カメラ映像の午後4時6分58秒頃の映像と●●映像のうち再生開始から41分48秒頃の映像が一致するとして、関連性を認めている(10頁)。
   エ ところで、監視カメラの映像は7月4日に押収したとされているが、別紙②(検甲63号証のファイルの一部のプロパティーをプリントアウトしたもの)には、作成日時は7月3日とされているから、検甲63号証自身改竄の可能性があり、従って、そこに記載されている時刻の信用性も乏しい。
   オ 又、仮に、時刻の記載が正しいとしても、別紙③(●●映像のうち再生開始から41分48秒頃の映像)と別紙④、⑤(監視カメラ映像の午後4時6分58秒頃の映像)を比較しても、その同一性は、少なくとも肉眼では確認できない。
カ 更に、前川証言では、当初のデータが不鮮明であっため、民間業者に鮮明化と時間の表示を依頼したとされているが、これを裏付ける証拠が全くなく、この点からも、改竄などの可能性は否定できない。
③  以上述べたとおり、原判決が●●映像を証拠として採用したことについては、訴訟手続の法令違反があり、かつ、原判決が同映像によって事実認定を行った以上、その違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。
3 甲63号証の法的関連性の欠如
 ① 正確性の欠如ないし未証明
 甲63号証については、原判決文9ページと10ページにおいて「監視カメラで撮影されたビデオを録画する装置にはGPSで正時にあわせる機能が付されていることが認められるところ(検甲1号証、証人増永洋一の公判供述)」(9ページ)「GPSで正時にあわせる機能により監視カメラ映像の正確性が担保されている」(10ページ)とある。しかし、検甲1号証の実況検分調書の2項において場所、身体又は物の項目には記載はなく現場写真17、現場見取り図11、12で監視カメラの位置が判明するだけである。これでは、正確性が担保されたことにはならない。
 判決で記載がある証人増永洋一の公判供述では、検察官主尋問に対して「領置した警察官から、その時間的な事は真性であると聞いている」「理由については、監視ビデオを録画する装置。これ自体にGPSで正時に合わせる機能がついているというふうに聞いております。」(公判調書2ページ)と、伝聞を述べているに過ぎない。
更に、領置した警察官の領置調書では7月4日に関西電力社員の西賢二から任意提出を受けたと記載され、提出場所は、領置調書には「発電所第1事務所4階安全防災室において」となっている。ところが、公判の志村証言ではPR館の駐車場で受領したことが確認されている(志村公判調書4~5ページ)。
また、原審判決で記載された、ビデオを録画する装置なる物がどこにあるのかも証明されていない。領置するはずだった安全防災室にある可能性が考えられるが、ここには志村はいかなかったのであり、GPS機能がついた録画装置の場所も確認されていない。
 原審判決では、検甲63号証の時間記載が正時だと断定している。しかし、排除されるべき伝聞証言(それも発言の日時・場所・主体も不明な)にすぎない公判証言のみを理由に採用するのは刑事訴訟法317条、320条1項に反するものであって、訴訟手続上の重大な法令違背である。
② 改造過程における錯誤の発生
 第6回公判調書の前川智浩証人の供述によると、3ページ下段から4ページ上段で対比作業を行った映像は鮮明化した後の映像であり、検甲63号証があたかも関西電力から任意提出を受けたそのままの映像ではなく、鮮明化作業を行った後の映像と証言している。「関電から任意提出を受けた防犯ビデオは、少し煙がかかる部分があり見えにくいことがあったので、業者に依頼して、少し画像を鮮明化した監視カメラの映像を利用しました」(同3ページ)
『DVD-R福井県小浜警察署処理結果2012.08.09DISC.7』『DVD-R福井県小浜警察署処理結果2012.08.09DISC.8』の2枚のDVDがこれに該当する。
 しかし、この上記2点のDVDは、検察官によって提出されておらず、正確性を検証することができない。
 ビデオの時間特定の為に鮮明化という改造を行った映像を使用して時間の基準点を解明した(前川証言)としながら、この映像を証拠として裁判所に提出しないのは不合理であり、検察側の立証が成立していないということである。
とりわけ、①第3回公判調書の証人尋問調書の高田義久の反訳書の別紙2(高田署名・捺印)の防犯ビデオ映像から切り取った写真4葉、②第3回公判調書の証人尋問調書の河口勇人の反訳書の別紙2(河口署名)の防犯ビデオ映像から切り取った写真7葉、③第4回公判調書の証人尋問調書の中村康裕の反訳書の別紙3(中村署名・捺印)の防犯ビデオ映像から切り取った写真2葉、の計13葉の写真は画像から、防犯ビデオからの利用であることは明らかであるが、左上に黄色で表示されている時間と撮影場所は、検甲号証として裁判所に提出された書証にもDVDにも写っていない。上記13葉で写っているような映像は、撤回された検甲57号証(前川報告)以外には、捜査報告書でも供述調書でも発見できなかった。これらは外部民間に委託して「鮮明化」したとされる映像の一部と考えられる。
原判決においては、この未提出の外注映像による対比捜査=時間確定作業が行われているが、原判決の「監視カメラ映像のうち同日午後4時6分58秒頃の映像と●●映像のうち再生開始から41分43秒後頃の映像を比較すると、いずれも同じ時刻の同じ状況を撮影したものである」(10ページ)という認定は、提出証拠から確認することができない。なぜなら、裁判所提出の検甲63号証で午後4時6分58秒にある2葉を抽出して見ても、警察官映像は絶対に確認できないからである。
このように、原判決は、証拠に基づかず、甲63の正確性を認定しているが、このような認定は、証拠裁判主義(刑事訴訟法317条)に反する、重大な訴訟手続の法令違背である。甲63の正確性を証するに足りる合理的な証拠が提出されていない以上、外注過程において錯誤が生じた可能性は高いというべきである。
  ③ 甲63を基にした供述も、毒樹の果実理論により排斥されるべきであること
   計13葉の写真は、防犯ビデオを外部民間に委託した後の画像を使用している。この加工後のビデオは公判で立証されていない。証人の供述調書作成に使用した「鮮明化」した映像からとった写真である。改竄の可能性のある写真を使用しての公判証言は証拠から排除されるべきである。

第2 法令適用の誤り(刑事訴訟法380条)
1 はじめに
 また、仮に被告人の行為の一部が暴行罪等の構成要件に該当したとしても、本件においては明らかに、緊急避難(刑法36条)が成立する。
 本件において(1)危難の急迫性、(2)避難の意思、(3)補充性、(4)法益の均衡の要件を満たすことは明らかであるが、原判決は、上記要件を検討することなく、刑法に記載のない独自の要件を定立した上で、緊急避難に該当しないと判断した。このような判断手法は罪刑法定主義(憲法31条)に反するものであって、到底許されない。
2 原判決の判示
「緊急避難の成立要件としての避難行為は現在の危難を避ける行為でなければならないところ、警備会社の自動車を損壊する行為(判示第1の犯行),大飯発電所警備員に対して発煙筒を用いて脅迫する行為(判示第3の犯行),暴行を加える行為(判示第4及び第5の各犯行)又は負傷させる行為(判示第2の犯行)は,いずれも原子炉の再稼働に影響を与える行為ではない。」(原判決24p)
3 「現在の危難を避けるため,やむを得ずした行為」の意義
「現在の危難を避けるため,やむを得ずした行為」という刑法37条の法文をどのように解釈しても、原判決が指摘するような「原子炉の再稼働に影響を与える」という要件が導かれることはありえない。
まず,「現在の危難」とは,危難が現に存在しているか,又は間近に押し迫っていることをいう((1)危難の急迫性)。
次に、「避けるため」とは,避難の意思があること,つまり法益侵害を認識しつつ,侵害を排除して権利を防衛することを少なくとも反撃の一つとする意思があることを指す。((2)避難の意思)。
そして、「やむを得ずした行為」とは、危難を避けるために,当該避難行為を行う以外には他に方法がなかったこと((3)補充性)を指す。
これらの要件の解釈からは,原判決が定立したような規範は導かれない。むしろ通説(判例も同趣旨)は,「第三者に対し避難行為をする場合だけでなく,危難に対し反撃行為をする場合も緊急避難となりうる」(弘文堂「条解刑法初版115頁」)と、第三者に対する避難行為が成り立つことを当然の前提としているのである。
4 原判決の判示は,全く無関係な一般市民を無差別に巻き込むテロを奨励するに等しく,およそ法解釈として成立しえないこと
(1) 公訴事実記載の行為が仮に存在したとしても,再稼働の阻止に向けた行為であること
 確かに,結果としてみれば,被告人の行為は,再稼働を阻止し得なかった。しかしながら,緊急避難は,避難目的が達成されたことを要件としているわけではない。目的が達せられなくても,刑法37条の要件を満たす以上,緊急避難の成立に欠けるところはない。
 また,本件原発の再稼働は,野田首相(当時)の判断によって行われたこと,再稼働セレモニーが副大臣を招いて大々的に行われたこと等から明らかな通り,政治的側面の極めて強い事象である。このような政治的事件においては,世論の動向など,社会的側面を無視することができない。公訴事実記載の行為は,仮に存在したとしても,世論に影響を与え,再稼働に関する政治的意思決定に影響を与えることを目的とした行為であり,再稼働との関連性は言うまでもない。
 さらに,被告人も,はじめから実力行使を考えていたわけではなく,公訴事実記載の行為が仮に存在したとしても,実力行使以外の手段を全て行って,それらが効を奏さなかった後に,再稼働の7月1日が目前に迫ったという危難が切迫した状況において,はじめて行われたものである。
(2) 原判決の判示は,刑法体系を破壊するものであること
それにもかかわらず、原判決が述べるとおり,「物理的に」再稼働を阻止しうる行為でなければ「原子炉の再稼働に影響を与える行為ではなく」,緊急避難が成立しないと解したら,いったいどのような事態が生じるであろうか。
 被告人は,物理的に原子炉のすぐ近くまで来て,再稼働に「直接」かかわる機器を物理的に破壊又は損傷等しなければならないことになる。しかし言うまでもなく,原子力発電所は極めて繊細な精密機器の大集合であって,物理的な破壊又は損傷行為は,不測の事故を引き起こしかねない。例えば,チェルノブイリ原子力発電所では,発電所における機器操作によって,多数の人々が生命を喪失し,数百万の人々が健康を害するような重大事故が生じるような事態を引き起こされた。原判決は,緊急避難の成立のため、そのような危険な行為を要求しているに等しい。
 言うまでもないが,そのような「物理的な」破壊行為は,多数の人々の生命・身体を害しうるものであるから,法益均衡の要件を満たさない。言うまでもないが,そのような「物理的な」破壊行為は,より穏当な手段,あえて例示すれば,検察官主張によると被告人が行ったとされる行為,があるにもかかわらずあえて行われたものであるから,補充性の要件を満たさない。
 それにもかかわらず,原判決は,公訴事実記載程度の行為では再稼働に影響を与えるものではないと述べている。これは,裁判所が,全く無関係な一般市民に無差別に危害を与えるテロ行為を推奨するに等しく,およそ法解釈として取りうるものではない。
 判決直後、被告人は、次のとおり発言した。
「判決は、2012年6.30~7.02のゲート前36時間『オキュパイ大飯』は再稼働に全く影響を与えなかったから、原発の問題とは関係ない!?のだそうです。これからの原発再稼働反対の運動では具体的・物理的に彼らの計画に一寸でも変更を強制できないと現象的な些細な問題だけで裁判がおこなわれてしまいますよ。私も『次の反対運動=実力闘争の時には、自主規制しないでキチンと実体的な打撃を強制しよう』と決意したのでした。」
 現実に被告人が直ちに「実体的な打撃を強制しよう」と考えているわけではない。この発言は、原判決の、「やるなら再稼働を物理的に阻止できる行動をやりなさい。」と宣告したに等しい、誰にでも分かる非常識さ、不合理さを、痛烈に批判したものである。
(3)備考
 一方、原発再稼働阻止のために①多数が集結し②原発敷地内に侵入し③そこを占拠し④原発作業員やその他の出入りを阻止する事は、建造物侵入罪の構成要件を充足すると考える余地もあるが、反原発の世論が圧倒的趨勢の今日、「社会的影響を考えると訴追できない」と警察・検察は判断した。原判決の緊急避難に関する法解釈は、前述のとおり不当ではあるが、原判決の判示及び検察当局の判断を整合的に考えると、むしろ、被告人の行動は、緊急避難の要件を充足すると考えなければならない。
5 緊急避難の要件を満たすことについて
(1) 危難の急迫性(主に弁1)
① 福島第一原発事故の概要 
    2011(平成23)年3月11日14時46分,三陸沖(牡鹿半島の東南東,約130km付近)深さ約24kmを震源とするM9の東北地方太平洋沖地震(以下,「本件地震」という。)が発生した。
    その結果,1号機,2号機及び3号機はいずれもメルトダウン(炉心溶融)を引き起こし,さらに落下した核燃料が圧力容器の底を貫通して格納容器に落下して堆積するメルトスルー(炉心貫通)まで引き起こしている。さらに,1号機,3号機及び4号機の原子炉建屋内において水素爆発が生じ,少なくとも90万テラベクレルと推定される放射性物質が大量に外部に放出される事態となった。
    そのため,現在でも約10万人の住民が居住地域への立入りを禁止されて避難生活を強いられるという深刻な被害を受けている。福島県外に避難している住民も6万人を超えるとされる。
    また福島第一原発事故による被害額は,判明しているだけでも莫大な金額にのぼる。福島第一原発事故による損害項目としては,損害賠償費用,事故収束・廃炉のための費用,原状回復費用,行政費用等に区分される。損害賠償費用は,すくなくとも数兆円に上る。事故収束・廃炉のための費用は,チェルノブイリ原発事故での廃炉費用が2350億ドル(約19兆円)かかっていることからすれば,少なくとも数兆円に達することが予想される。その他に,原状回復費用として,原発周辺地域の除染作業,具体的には放射能測定をきめ細かく実施し,放射線量が高い地域の土地の表面を削るなどの処理費用が見込まれ,その費用には数兆~数十兆円規模の費用が予想される。
現行の損害賠償制度では確実に被害の補償ができないという事であり、だとするなら国の財政のすべてを賠償に当てたとしても不十分な賠償しかできないということである。国家の財政破綻を覚悟するか、被害者を見捨て見殺しにするしかない。
    このように,原発事故は,極めて多くの人々の身体,財産に,重大な危難をもたらすものである。
   ② 本件原発を襲う地震と津波の危険性
    日本は地震大国である。理科年表によれば,決して広くはない日本の国土に,世界の地震の1割が集中している。4つのプレート境界がひしめきあっているのは世界で唯一日本だけである。
    そして,若狭湾周辺地域には,多数の断層があり,かつ,活断層である可能性が指摘されている。とりわけ,大飯原発は,FO-A断層・FO-B断層(想定マグニチュード7.4)の直近に位置し,大飯原発1,2号機と3,4号機との間の地下をほぼ南北に走っているF-6破砕帯(主に断層運動により断層沿いの岩盤が割れて礫状になった部分)が存在する。同破砕帯については少なくとも,活断層であるという有力な科学的知見が存在する。  
    従って,専門家同士で評価が分かれるF-6破砕帯について安全側に考えれば,運転しながら調査するのではなく直ちに運転を停止すべきである。それにもかかわらず原子力発電所を運転させる行為は,住民の生命・財産等に危険を及ぼすものである。 
  ③ 当時の安全審査の不合理性
(付言すると、不合理性は未だに解消されていない)
    本件原発施設の設置許可にあたっての各審査は,下記に述べる安全審査指針類及び技術基準が用いられ,福島第一原発においてもバックチェック,定期点検などによってこれら指針類による審査により「安全性に問題はない」として稼動されてきていた。しかし,福島第一原発事故は,これらの安全審査指針類等が,何ら安全性を担保するものではなかったことを示した。本件原発の再稼働は,その問題が何ら解消されないまま行われたものであり,その危険性は明らかである。
   ア 例えば安全設計審査指針27は,その解説において,
  「指針27.電源喪失に対する設計上の考慮
   長期間にわたる全交流動力電源喪失は,送電線の復旧又は非常用交流電源設備の修復が期待できるので考慮する必要はない。
   非常用交流電源設備の信頼度が,系統構成又は運用(常に稼働状態にしておくことなど)により,十分高い場合においては,設計上全交流動力電源喪失を想定しなくてもよい。」
   としている。
    しかし,今回の福島第一原発事故は,全電源喪失が長時間継続したため,冷却機能が失われたものであるから,長時間の全電源喪失はあり得ないとする指針27は明らかな間違いであった。
    このように,安全設計指針全体がその合理性を失っているものであり,同指針を前提とした原発の稼働は,極めて重大な危険をもたらすものであった。
   イ また「単一故障指針」とは,事故の際に,ある安全装置が一つ働かなくても他の装置が働いて,事故に対処できる設計になっていることをいう。
より具体的には,
   A 事故が起きたときに,各種の安全機器例えば緊急炉心冷却装置(ECCSという。シャワー―強弱の複数あり)や緊急電源用ディーゼル発電機(DG―強弱の複数あり)のうち各種の全部(例えば炉心冷却装置の全部)が壊れることを想定(「共通原因故障ルール」という)しなくてよい。
   B 各種の全部のうち,最強のもののひとつだけの故障を想定すればよい。
   C 具体的には,炉心冷却装置に高圧用2つと低圧用2つがある場合には高圧用1つの故障を想定すればよい。緊急電源用ディーゼル発電機に強,中,弱とあるときには最強のものひとつの故障を想定すればよい。
   というルールを意味する。
    こうした「単一故障指針」が,巨大地震や津波に無力であることは誰の目にも明らかであろう。現に福島原発では13台あったDGのうち12台が地震若しくは津波によって破壊され,冷却水の循環に失敗した。
    単一故障指針は,巨大地震や巨大津波に対する安全審査の方法としては全く不適切かつ無力であって,安全評価審査指針における「単一故障指針」の評価方法が,不合理であることは明らかである。またそのことは,本件原発につき安全性の確保がなされておらず,福島第一原発事故のような事態が起こる現実的危険性があったことを意味する。
  ④ 放射性物質拡散の現実的な危険性と被害の重大さ
    放射線は,大きなエネルギーを持っているために体の中を貫通し,その通り道にある細胞を傷つける。従って,大量の放射線を浴びると,細胞は死んでしまい,全身に一度に大量の被ばくをすると,急性障害を起こす。その症状は,被ばく線量にもよるが,被ばく線量が多くなると,下血,紫斑,脱毛などが起きて,死亡する場合もある。また,低線量(100mSv)以下の放射線を浴びた場合も,数年から数十年後にがん,白血病や遺伝的障害などの晩発障害が起きる可能性がある。既に福島県などでは,福島第一原発事故に関連して,若年層の健康被害が報告されている。
    福島第一原発事故で放出された放射性物質による被ばく線量が年間1mSv以上となる可能性のある土地の面積は,約1万3000k㎡(日本の面積の約3%)と非常に広範囲に及ぶ。同事故では,水蒸気爆発に至らなかったこともあり,大気中に放出された放射性物質の総量は,チェルノブイリ原発事故の約6分の1にとどまったが,水蒸気爆発に至らなかったのは偶然によるところが大きく,本件原発においても水蒸気爆発の危険は存在する。
    そうすると,これまで述べたとおり本件原発でも過酷事故が起きる可能性があるところ,その規模は,福島第一原発事故と同規模の事故やこれを超える最悪の事故となる可能性がある。
   ⑤ その他、本件原発の事故により,人々の身体,財産等に生じうる甚大な損害(弁3,4)
 原子力発電所の過酷事故による被害額試算が2004年の時に提起されている。現在関西学院大学準教授である朴勝俊氏は大飯発電所3号機を措定し、次のように試算している(弁3)。
最大1.7万人もの住民が急性傷害で死亡し、晩発性のガンで死亡する住民も最大41万人にのぼる(同4p)。
経済的には平均して約50兆円、最大約250兆円もの人的被害・物的損害が長期にわたって発生することになる(同14pの集約表2)。最悪の場合の被害額は日本の年間GDPの半分を超える。この予測は、3.11を経た今日では、より現実性を帯びてきている。
   ⑥ 以上より,2012(平成24)年6月30日において,本件原発の再稼働により,多数人の身体,財産等に対する重大な危難が迫っていたことは明らかである。 
 (2)避難の意思
  ① 被告人に避難を避ける意思があったこと
    そして,被告人は,まさに福島第一原発事故の被害を目の当たりにして,このような重大な危難を避けるために,2012(平成24)年6月30日において抗議行動に参加し,何としても再稼働を阻止しなければならないと考えていた。被告人が被告人質問で述べたとおりである。(調書1p以下)
  ② 危険性の認識
    また,大飯原発の危険性は(1)で述べたとおりであるが,こうした危険性は,被告人もまた認識するところであった。(調書11p以下)
(3)補充性
 被告人は少なくとも,実力行使をはじめから考えて抗議行動をしていたわけではない。一件記録から明らかなとおり,実力行使以外の手段によって再稼働を阻止することを考えており,まずは言論による呼びかけによって再稼働を断念するよう,関西電力らに求めていた。こうした被告人らの行為は,おおい町の住民にも共感する人が出たことから明らかなとおり,極めて平和的なものであった。
    オキュパイ大飯以前における平和的行動については被告人調書4p8行目以下,オキュパイ大飯における平和的行動については同5p下から6行目以下を参照されたい。
 (4)法益の均衡
 「第1」の「2」及び「5」で述べたとおり,本件原発の再稼働による危難は,十万人,百万人を超える極めて多数の人々に生じるおそれがあり,かつ,その危難の内容も,財産の喪失はもとより,がんの発生を含む極めて重大な健康被害を含むものである。とりわけ,放射能に対する感受性が高い子供たちにおいて,その被害は深刻なものとなる。
 これに対し,公訴事実の記載を前提としても,「本件犯行」による「被害」は,最も重いものでも全治十日程度の熱傷にすぎず,かつ「傷害」を受けた人物も一人にすぎない。しかも,三船医師の証言によれば,この「被害者」は医師による治療を必要とするものではなく,現に三船医師は,「本件犯行」から間もなく診察したにもかかわらず,何らの治療も行わなかった。更に,三船医師の証言によれば,そもそも「被害者」の皮膚の状態が,火傷以外の原因によって生じた可能性すら否定できない。 
 よって,法益均衡の要件を満たすことは明白である。  
6 小括
 以上より,原判決は,被告人に緊急避難が成立するにもかかわらず,刑法に記載のない独自の要件を定立してこれを否定したもので,その法解釈の誤りが判決に影響を与えることは明らかである。

第3 事実誤認(刑事訴訟法382条)
 1 被告人と本件の「犯人」との同一性
  ① 前記のとおり、本件の「被害者」、「目撃者」の証言は証拠から排除されるべきであり、そうだとすると、被告人と本件の「犯人」との同一性が否定されることは明らかである。
  ② 仮にそうでないとしても、原審で主張したとおり、関係者の目撃した「犯人」の特徴は、フードのあるカッパを着て、年齢は60歳くらい、白髪まじり、こけた頬」ということになるが、この様な人相や服装の特徴は特に際立ったものとはいえず、又、当日の抗議行動参加者の人相、服装等を全て撮影したされる証拠が提出されていない以上、前記のような服装、年齢の人物が他にいた可能性も否定できない。
  ③ よって、被告人の本件の「犯人」との同一性は否定されるか、少なくともその証明はないというべきであるから、被告人が本件の「犯人」であるとした原判決には事実誤認があり、この誤認が判決に影響を及ぼすことは明らかである。
 2 判示第1の事実(器物損壊)について
  ① 原審でも主張したとおり、発煙筒の燃焼実験(検甲11)によれば、本件において車内で発煙筒が燃えたとすれば、発煙筒本体の残骸或いは前記微粒子等、その痕跡が残っていなければならない。
  ② しかし、車内で燃えていたとされる発煙筒の残骸や微粒子等、車内で発煙筒が燃えていたことを示す痕跡は皆無であって、車内の燃焼の原因が発煙筒であるかどうかさえ不明であり、事件ではなく、事故(例えば、何らかの原因で電気系統がショートし、これによって燃焼した可能性もある。)の可能性も否定できないことは明らかである。
  ③ これに対し、原判決は、「本件業務車の運転席フロアマットは左上部は三角形に焼け溶け、その損傷部頂点には部分には溶解した赤色プラスチック片が付着していたこと」や「運転席側フロアマット上に見られる白色すす様のもの」も発煙筒による損傷の痕跡といえるとしている(15頁)。
  ④ しかし、発煙筒の燃焼実験(検甲11)で確認された発煙筒本体の残骸や「薄ピンク色の微粒子」は全く発見されておらず、原判決にはこの点に関する説明もない。
  ⑤ また、実況見分の結果(検甲8)によると、「フロアマットの損傷部頂点溶解したプラスチック片が付着していた」とされているのに、判決では「赤色プラスチック片が付着していた」とされている。また、発煙筒の燃焼実験(検甲11)によれば、「燃焼後、ケース内部には、炭化した赤色プラスチック部分が残存していた。」とされており、その色が何であれ、「プラスチック片」のみでは、発煙筒による損傷の痕跡といえないことは明らかである。
  ⑥ よって、本件が犯罪であることの立証がないというべきであるのに、これを器物損壊罪と認定した原判決に事実誤認があり、この誤認が判決に影響を及ぼすことは明らかである。
 3 判示第2の事実(傷害)について
  ① 原審でも主張したとおり、燃焼時の発煙筒の先端部分の燃焼温度は900度以上の高温とされているから、もし、公訴事実の様に発煙炎筒を押し当てられたのであれば、衣服はもっと燃え、全治2週間ではすまない熱傷になっているはずであるのに、治療を1回しただけの軽微な火傷で終わっていることからすれば、発煙筒は「押し当てられた」のではなく、その炎の先端が高田の身体に触れたにすぎず、傷害罪が成立しないことは明らかである。
  ② これに対し、原判決は、「発煙筒を押し付ける時間が極めて短時間であれば、本件のように、着衣の一部の損傷に止まることも十分に考えられる」としている(16頁)が、これは、何の根拠もない、原審の単なる推測にすぎない。
  ③ そもそも、「押し付ける(当てる)」という行為は、ある程度の時間をかけて行うことが前提とされているから、これが「極めて短時間」ということは論理矛盾というべきである(「極めて短時間」であれば、これを「「押し付ける(当てる)」と表現するのは誤りで、「触れる」と表現すべきである。)。
  ④ 更に、原判決によれば、この事件の犯人は、高田の背後から、右手に持って発煙筒を高田の左肩に押し当てた、すなわち、高田の背後から左方向に移動し、高田の左側に回って発煙筒を押し当てたとされているのである。他方、犯人が発煙筒を押し当てた状況を目撃したとされているのは大前のみであるが、同人の目撃位置からすれば、高田の左背後にいた犯人に遮られ(しかも、10メートルもの遠方から)、「発煙筒を押し当てた」状況を目撃することは不可能というべきである(同人の証言調書添付の別紙3参照)。
  ⑤ 以上述べたとおり、発煙筒を「押し付けた」とされる点については何の証拠も存在せず、傷害の程度などからすれば、発煙筒は「押し当てられた」のではなく、その炎の先端が高田の身体に触れたにすぎず、傷害罪が成立しないことは明らかである。
  ⑥ よって、本件が犯罪であることの立証がないというべきであるのに、これを傷害罪と認定した原判決に事実誤認があり、この誤認が判決に影響を及ぼすことは明らかである。
 4 判示第3の事実(脅迫)について
  ① 原審でも主張したとおり、本件は、周囲は広い場所で、原発稼働再開反対派、警備員等の多くの人もいる中で、1.5メートル離れた所から行われた言動であり、「身体等にいかなる危害をも加えかねない気勢を示して脅迫した。」等といえないことは明らかである。
  ② これに対し、原判決は、「河口と犯人との距離や発煙筒を振り回していた時間、犯人の発言内容に照らすと、犯人の言動は一般に人に恐怖心を生じさせるに足りる程度の害悪の告知に当たる」旨判示している。
  ③ しかし、犯人は、「燃やすぞ」と言う抽象的な言葉を言ったのみであり、時間も10秒という短時間であること、周囲には原発稼働再開反対派のみならず警備員も多くの人もいたこと、犯人と河口との間には1.5メートルという距離があったことなどからすれば、犯人の言動は「一般に人に恐怖心を生じさせるに足りる程度の害悪の告知」に該当せず、脅迫罪が成立しないことは明らかである。
  ④ よって、本件が犯罪であることの立証がないというべきであるのに、これを脅迫罪と認定した原判決に事実誤認があり、この誤認が判決に影響を及ぼすことは明らかである。
 5 判示第4の事実(暴行)について
  ① 原審でも主張したとおり、本件程度の行為が「暴行」といえないことは明らかである。
  ② これに対し、原判決は「犯人の行為は、至近距離から点火した発煙筒を突き出すという炎によって負傷する可能性の高い危険性の高いものであり、人の身体に対する不法な有形力の行使に該当する」旨判示している。
  ③ しかし、犯人の「おらおら」という言葉は、脅すというようなものではないこと、小川との距離も1メートルあったこと、周囲には多くの人間がおり、周囲は広い場所で移動も容易であったこと、小川の警備員という立場などからすれば、本件程度の行為が「暴行」といえないことは明らかである。
  ④ よって、本件が犯罪であることの立証がないというべきであるのに、これを暴行罪と認定した原判決に事実誤認があり、この誤認が判決に影響を及ぼすことは明らかである。
 6 判示第5の事実(暴行)について
  ① 原審でも主張したとおり、発煙筒が投げ込まれた引き違い小窓の大きさ、位置などからすれば、犯人は特定の目標を狙って発煙筒を投げることは困難であり、暴行罪が成立しないことは明らかである。
  ② これに対し、原判決は、「犯人は西村の身体に発煙筒が当たることについて未必的に容認していた」旨判示している。
  ③ しかし、前記小窓自体小さく、地面から約130センチ(60+65+17)の所にあり、しかも、その前面には長さ45センチの受付カウンター台があること、発煙筒自体長い筒であって、これを何かにめがけて投げることは困難であることなどからすれば、特定の目標を狙って投げることは困難であり、発煙筒が西村に当たったのは偶然にすぎず、犯人が「西村の身体に発煙筒が当たることについて未必的に容認していた」とはとうてい考えられない。
  ④ よって、本件が犯罪であることの立証がないというべきであるのに、これを暴行罪と認定した原判決に事実誤認があり、この誤認が判決に影響を及ぼすことは明らかである。
第4 結 論
以上の通り、原審の判断は誤っており、原審判決を破棄し、被告人は無罪であるとの判決を求める。
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