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【大飯弾圧】控訴審の判決文をアップしました。ただひたすら一審判決擁護に終始する内容です。ぜひ、ご一読ください




平成 26年 2月 1 3 日宣告裁判所書記官赤地知子
平成 25年(う)第 5 1 号


        判             決

本籍 *****
住居 *****
職業 *****

                           川崎二男
               昭和 **年 **月 **日生

上記の者に対する器物損壊,傷害,脅迫,暴行被告事件について,平成 25年7 月 1 7 日福井地方裁判所が言い渡した判決に対し,被告人から控訴の申立てがあったので,当裁判所は,検察官演隆二出席の上審理し,次のとおり判決する。


主 文

本件控訴を棄却する。


理      由

本件控訴の趣意は,主任弁護人(私選)堀和幸及び弁護人(私選)笠原一浩共同作成の「控訴理由書」と題する書面に記載されたとおりであるから,これを引用する。論旨は,訴訟手続の法令違反,事実誤認及び法令適用の誤りを主張するのである。


第 1   訴訟手続の法令違反の主張について

1  刑事訴訟法 157条の3の遮へい措置の適否について

論旨は,原審が証人尋問の際に刑事訴訟法 157条の3の遮へい措置を採ったことは,被告人及び弁護人の反対尋問権及び防御権を侵害するとともに実体的真実の発見にも多大な支障を生じさせたものであり,遮へい措置が採られて実施された証人尋問における供述は証拠から排除されるべきであるのに,これらを証拠として採用した原審の訴訟手続には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違 反がある,というのである。

そこで検討するに,原審裁判所が,原審証人(以下,単に「証人」という。)高田義久,同大前岳夫,同河口勇人,同中村康裕,同西村光弘,同布谷政樹,同西 尾幸博,同小川等司及び同柿本真人の各尋問に際し,それぞれ証人と被告人及び証人と傍聴人との聞に遮へい措置を採ったこと,証人小林輝也の尋問に際し,証人と傍聴人との聞に遮へい措置を採ったことは,一件記録上明らかである。

ところで,本件は,関西電力株式会社大飯発電所(以下「大飯発電所」とい う。)の再稼働反対運動に参加する多数の者らが,同発電所宮留警備員詰所(以 下「詰所」という。)西側に設置されていた,同発電所敷地への出入口ゲート (以下「宮留ゲート」という。)に集まって,これを封鎖し,警備員や警察官らともみ合いになるなどする中で,被告人が警備会社の業務車両を焼損して損壊したり,警備員らに対し点火した自動車用緊急保安炎筒(以下「発炎筒」という。)を押し付けて傷害を負わせたり,あるいは発炎筒を振り回すなどして暴行や脅迫をしたりしたという事案であること,原審第 1回公判期日で,被告人及び一部の傍聴人が,裁判長の制止に従わずに不規則発言をしていたこと, 証人高田 同大前,同河口,同中村,同西村,同布谷,同小川及び同柿本は,いずれも本件現場で警備に当たっていた民間会社の警備員であり,本件各犯行の被害者あるいは目撃者であること,証人西尾は警備会社の総務部長の立場にあり,当日現場で警備に当たっていたわけではないものの,被害者らから被害の状況等を聞き,上記期日を傍聴した際に被告人及び傍聴人の上記態度等を見聞きしていたことなどの事情に鑑みれば,上記証人らが被告人の面前で供述することや,傍聴人から見られた状態で供述することは,心理的圧迫を受け,精神の平穏を著しく害されるおそれがあるものと認められる。

また,証人小林は,損害保険会社の従業員であり,本件被害車両の損害額の見積り等を担当した者であるところ,上記のような本件事案の内容等に鑑みれば,同証人が傍聴人から見られた状態で供述することは,心理的圧迫を受け,精神の平穏を相当程度害されるおそれがあるものと認められる。

したがって,原審裁判所が,前記各証入の尋問に際し,証人と被告人及び証人と傍聴人との聞に,あるいは,証人と傍聴人との聞に遮へい措置を採ったことは正当である。

そして,被告人との聞に遮へい措置が採られた際にも,被告人は証人の供述を聞き,自ち尋問することができる上,弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられないことなどからすれば,刑事訴訟法 157条の3の遮へい措置が被告人及び弁護人の反対尋問権及び防御権を侵害するものではないことは明らかである。

よって,前記各証人尋問における供述を採用した原審の訴訟手続に法令違反はない。

論旨は理由がない。


2  DVD-R (原審甲 6 1)  の証拠能力について

論旨は,①捜査機関が●●●(以下 「●●」という。)の居宅を捜索し,本件に関連する動画データ(以下「●●映像」という。)が記録されていた記録媒体を差し押さえた処分(以下「本件差押え」という。)件,憲法上保障された表現の自由,報道の自由,知る権利等を侵害するものであるから,●●映像が記録されたDVD-.R  (原審甲 6 1)   (以下「本件DVD-R」 という。)は違法収集証拠として証拠能力がなく,また,②本件DVD-R の作成に際して改ざん等がされた可能性があるのに,これを証拠として採用して事実認定に用いた原審の訴訟手続には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反がある,というのである。

そこで,原審記録及び証拠物を調査して検討すると,本件DVD-Rの証拠能力を認めて証拠として採用した原審の訴訟手続には,何ら違法な点は認められず原判決が「事実認定の補足説明及び弁護人の主張に対する判断」の第 3 項で説示するところも正当として是認することができる。

(1) すなわち,まず上記①の点についてみると,原判決も説示するとおり,本件差押えの可否を決するに当たっては,捜査の対象である犯罪の性質,内容,軽重等及び取材結果である差押対象物の証拠としての価値,ひいては適正迅速な捜査を遂げるための必要性と,いわゆる市民ジャーナリストである●●が取材結果を証拠として押収されることによって報道の自由等が妨げられる程度及び将来の取材の自由が受ける影響その他諸般の事情を比較衡量すべきである。

上記見地に立って,本件差押えの違法性について検討する。まず,本件差押えは,大飯発電所再稼働の反対運動に参加していた被告人が,同発電所の敷地内で複数の警備員らに対し,点火した発炎筒を用いて立て続けに傷害,脅迫,暴行等 の行為に及ぶなどしたという悪質な事件に関する捜査として行われたものである。そして,●●映像には,犯人が警備員に対し発炎筒を突き出したり,詰所内に発 炎筒を投げ入れたりする犯行状況,犯人の容ぼう等が映っていたところ,被害者らや目撃者らの中には,必ずしも十分な識別供述が得られない者もおり, 被告人 は,一貫して本件各犯行について黙秘していたことなどからすれば,●●映像は被告人による本件各犯行を立証する上で極めて重要な証拠価値を有していたものと認められる。他方で,●●は,本件差押えを受ける以前に,●●映像を編集し た上で,インターネット上の動画サイトで公開し,元のデータは消去していたのであるから,本件差押えにより●●が受ける不利益は,●●映像をインターネッ ト上の動画サイトに公開するという表現活動をする機会が奪われるという不利益ではなく,将来の取材の自由が妨げられるおそれがあるという不利益にとどまる。 以上によれば,●●による表現活動の自由や取材の自由は十分尊重すべきものであるとしても,上記不利益は,適正迅速な捜査を遂げるためには受忍されなければならないというべきであり,本件差押えはやむを得ないものと認められる。

所論は,●●は,平成24年秋以降,取材現場で抗議行動家にカメラを向ける と非難され撮影を拒否されるようになったと述べており,現に将来の取材の自由が妨げられていると主張する。しかし,●●は,撮影を拒否された際に「お前らがそうやって撮影してネットで公開することでそれを警察が見て,目をつけられて,逮捕につながるんだ。」と言われたと原審公判廷で供述しているところ,●●が●●映像を編集した動画をインターネット上の動画サイトで公開したのは,本件差押えに先立つ同年 9 月 20 日であり,同じ日に被告人が逮捕されている。このことからすると,本件差押えが原因で撮影を拒否されたと解することは困難である。また,原判決も指摘するとおり,●●は,検察官から本件差押えが原因 で撮影を拒否されるようになったと考える根拠について問われたのに対し,本件差押えが原因の全てであるとは言っていない旨供述するにとどまっている。これ らのことからすると,●●の上記供述によっても,本件差押えが原因でその後の取材活動に支障が生じた事実を認めることはできず,所論は採用できない。

また,所論は,本件差押えに際しては,●●映像以外にも膨大な取材映像のデ ータが押収され,その全てが発表の時機を逸する結果になったのであり,原判決はこの点を看過していると主張する。しかし,たとえ本件差押えの対象となった 各記録媒体に●●映像以外の取材映像が含まれていたとしても,その取材映像に関する処理の適否は●●映像が記録された本件DVD-Rの証拠能力の判断に直ちに影響するとはいえないというべきである。

以上によれば,本件差押えは違法なものではなく,●●映像が記録された本件DVD-Rは違法収集証拠に当たらないというべきである。

(2) 次に,②の点についてみると,関係証拠を精査しでも,本件差押えにより 押収された記録媒体に基づき本件DVD-Rを作成する過程で,動画データの損壊,改ざん等がされたことをうかがわせる事情は何ら認められない。所論は,本件DVD-R内の動画データファイルの作成日時,更新日時及びアクセス日時が表示されないことを指摘するが,そのような事情が,直ちに改ざん等をうかがわせる事情になるとはいえない。

また,大飯発電所敷地内新吉見トンネル南側出入口上に設置された監視カメラ により本件当時の本件現場付近を撮影した映像(以下「監視カメラ映像」という。)と●●映像とを対照するなどすれば,●●映像は,平成 24 年 6 月 30 日 午後 3 時 25 分 1 5 秒頃から同日午後 4 時 1 2 分 20 秒頃までの間,宮留ゲートから新吉見トンネル付近を中心に大飯発電所を撮影したものであると認められるから,関連性があることは明らかである。所論は,監視カメラ映像にも改ざん等の可能性があると主張するが,後記 3 で説示するとおり,監視カメラ映像の正確性に疑いを容れる点はない。

(3)   以上のとおり,本件DVD-Rを証拠として採用した原審の措置に法令違反はなく,論旨は理由がない。


3     DVD-RW (原審甲 6 3)  等の証拠能力について

論旨は,DVD-RW  (原審甲 6 3)    (以下「本件DVD-RW」という。) に記録された監視カメラ映像の正確性については疑義があるのに,同証拠を採用し,また,これを基に作成された 1 3 葉の写真は改ざんの可能性があるのに,これを使用して証人尋問が行われている証人高田,同河口,同中村の各原審公判供述を採用した原審の訴訟手続には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反がある,というものと解される。

しかし,関係証拠(原審甲 55 ,63 ,証人増永洋一,同志村直彦)によれば 本件DVD-RWは,新吉見トンネル南側出入口上部の東端に設置された監視カメラにより,平成 24 年 6 月 30日午後 2 時 55 分頃から同年 7 月 2 日午前 3 時58分頃までの間,大飯発電所の宮留ゲート付近等を連続して撮影した映像(監視カメラ映像)の動画データが記録されたDVD-RWであることが認められ, 監視カメラ映像の正確性に疑いを容れる余地はない。

所論は,原判決が,証人増永の「GPSで正時に合わせる機能がついていると 聞いている」旨の伝聞証言により,監視カメラ映像の時刻の正確性を認定したことを論難する。しかし,所論が指摘する伝聞証言については,増永の原審証人尋問が終了するまでの聞に異議の申立てがなく,直ちに異議の申立てができないなどの特段の事情も認められないから,黙示の同意があったものとして証拠能力が認められる。したがって,その供述を監視カメラ映像の時刻の正確性を認定するための証拠として用いた原審の訴訟手続に法令違反はない。

 また,所論は,前川警察官が●●映像と監視カメラ映像の対比作業を行った際に用いられた監視カメラ映像は,元の映像を鮮明化する処理をした後の映像であるところ,その映像は検察官から提出されておらず,正確性を検証できないことなどを理由として,原判決は,証拠に基づかずに本件DVD-RWに記録された監視力メラ映像の正確性を認定した旨主張する。しかし,原判決は,本件DVD-RWに記録された,映像を鮮明化する前の監視カメラ映像や証人増永の原審公判供述等に基づき,監視カメラ映像の正確性を認定し,さらに,その監視カメラ映像と対照して●●映像の正確性を認定したものであるから,所論は失当である。そして,鮮明化された後の映像に基づき作成された捜査報告書(原審甲 8 6)  の記載と本件DVD-RWの動画データとを対比すると,鮮明化された後の映像と元の映像との聞には,鮮明化の点を除き相違があることは全くうかがわれないし, 前記 1 3 葉の写真と本件DVD-RWの動画データを対比しでも同様である。

以上によれば,本件DVD-RW及び証人高岡,同河口,同中村の各原審公判供述を証拠として採用した原審の措置に法令違反はなく,論旨は理由がない。


第 2     事実誤認の主張について

論旨は,本件各犯行について,犯人と被告人との同一性は証明されていない上, 犯人による各行為について犯罪は成立しないのに,被告人に対する器物損壊罪,傷害罪,脅迫罪及び暴行罪 2 件の成立を認めた原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある,というのである。

そこで,原審記録及び証拠物を調査して検討すると,原判示第 1ないし第 5 の各犯行が行われたこと及びその犯人がいずれも被告人であることを認定した原判決には,論理則,経験則に照らし検討しても何ら不合理な点はなく,正当である。 以下,所論に鑑み説明する。

1  原判示第 I の器物損壊罪

関係証拠によれば,平成 24 年 6 月 30 日午後 3 時 1 0 分頃の時点で,原判示のエルパークおおい「おおいり館」第一駐車場に駐車された被害車両に特段の異常はなかったこと,同日午後 3 時 2  9 分頃以降,犯人が被害車両を運転して上記駐車場から新吉見トンネル南側出入口付近まで移動させ,運転席から降りたが,その際に車内から煙が上がっており,その数分後には車内に煙が充満していたこと,犯行後に行われた被害車両の実況見分(原審甲8) によれば,被害車両の運転席フロアマットの左上部が焼損し,その焼損部頂点部分には溶融した赤色のプ ラスチック片が付着していたほか,同フロアマット下の車体本体鉄板部,センターコンソールボックス,インストルメントパネノレ等が焼損していたこと等が確認されたこと,被害車両と同一のプラットフォームを有する車両の運転席フロアマットに点火した発炎筒を置くなどして実施された再現実況見分(原審甲 1 2) の 際の,焼損の状況が被害車両と似通っており,特に,運転席フロアマットの焼損部頂点部分に溶融したプラスチック片が付着した状況は酷似していたことが認められる。

これらのことからすれば,犯人が被害車両の運転席フロアマット上に点火した発炎筒を置いて,被害車両を焼損して損壊したことが優に認められる。

所論は,発炎筒の燃焼実験(その実況見分調書は原審甲 1 1) において確認された発炎筒の残骸や薄ピンク色の微粒子が被害車両からは発見されていないと主 張するが,発炎筒単独での燃焼実験であることなど本件とは異なる条件下で行われた上記燃焼実験における燃焼後の残存物等につき,被害車両の実況見分におい て同ーのものが確認されなかったとしても,上記認定を左右するものではない。


2     原判示第 2 の傷害罪

原判示第 2 の犯行の被害者である高田及び目撃者である大前の原審各公判供述は,関係証拠によって認められる高田の左上腕部の熱傷の状況,高田の衣服の焼損状況,医師の診断等によって裏付けられており,不自然,不合理な点はなく,その信用性は高いところ,同各供述によれば,犯人が高田に対し,その背後から点火した発炎筒を左上腕部に押し当てる暴行を加え,傷害を負わせた事実が優に認められる。

所論は,高温度の発炎筒を押し当てられたのであれば,衣服はより広範に燃え, より重度の熱傷を負うはずであるのに,高田が全治 2 週間の熱傷という軽微な傷害で終わっているのは,発炎筒の炎の先端が高田の身体に触れたにすぎないからだなどと主張するが,具体的根拠を欠いていて推測の域を出ず,採用できない。


3   原判示第 3 の脅迫罪

関係証拠によれば,原判示第 3 の犯行の被害者である河口は,警備会社に勤務する警備員であり,当時,大飯発電所宮留ゲート内の警備を担当していたこと,同犯行時刻頃,河口が,同ゲートから新吉見トンネルに向かったところ,犯人は新吉見トンネノレ南側出入口と宮留ゲートの聞の道路上で,河口と約 2. 4 メートルの距離で正対した状態で,約 1 0秒間にわたり,点火した発炎筒を右手に持っ て,その筒先を河口の上半身に向けて横に振り回しながら, 「おら,燃やす ぞ。」などと叫ぶように言い,他にも何か言葉を叫ぶように発していたことが認められる。これらの事実からすれば,当時,宮留ゲート付近等には河口以外にも複数の警備員がいたことなど所論が指摘する事情を考慮しでも,犯人の河口に対する上記言動は,河口を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知に当たるものと認められ,脅迫罪が成立する。


4   原判示第 4 の暴行罪

関係証拠によれば,犯人は,約 1メートルの距離で小川と正対した状態で,点火した発炎筒を右手に持って,その筒先を小川の胸元に向かつて 2 回ほど突き出 した上,3回目位に発炎筒を更に前方に突き出したこと,小川は,犯人のこの攻 撃を避けるために右後方に体をよじったが,発炎筒がHの左脇に挟まったことが認められる。これらの事実によれば,犯人が, 発炎筒を突き出す行為が小川に対する暴行に当たり,暴行罪が成立することは明らかである。


5   原判示第 5 の暴行罪

関係証拠によれば,詰所西側には,外側に受付カウンター台が設置されており, その上方には,上段と下段に分かれた受付窓があること,このうち,下段には 2枚引き違い小窓が,上段には, 2 枚腰高窓が各設置されていること,犯人は,上記受付カウンター台の前付近から,右手に持っていた発炎筒を,開いていた引き違い小窓を通して詰所内に投げ入れ,その発炎筒が詰所内で警備に当たっていた西村の左前大腿部に当たったことが認められる。そして,関係証拠によって認められる上記引き違い小窓及び腰高窓の状況等によれば,犯人は上記小窓が開いていること及び詰所内に警備員がいることを認識していたものと認められる。これらの事実からすれば,犯人は,自身が投げた発炎筒が詰所内の警備員に当たることを少なくも未必的には認識していたものと認められるから,犯人の行為については暴行罪が成立する。所論は,上記小窓が小さいものであることや発炎筒が長い筒状のものであることなどを指摘するが,これらの点を考慮しでも上記判断は変わらない。


6   本件各犯行の犯人と被告人との同一性

原判決が詳細に説示するとおり,本件各犯行の犯人の着衣や容ぼう等の特徴が一致することや時間的・場所的近接性などからすれば,本件各犯行の犯人はいず れも同一人物であると認定できる。そして,●●映像に映っている原判示第 4 の犯行の犯人の容ぼうや体格が被告人のそれとよく似ていること,上記犯人の者衣と特徴が一致するフード付きカッパ及びリュックサックが被告人方から押収されていることからすれば,本件各犯行の犯人は被告人であることが強く推認される また,本件の被害者らや目撃者らの犯人識別供述についてみると,特に大前,河口及び西村の識別供述は,観察条件は良好であること,写真面割り及び面通しに おいて被告人の選別がされていること,その捜査過程において不当な暗示,誘導等が介在したことはうかがわれないことなどから,その信用性は高いといえるところ,上記各事実にこれらの識別供述を総合すれば,本件各犯行の犯人は被告人であると認められる。

所論は,本件の被害者らの各原審公判供述は証拠から排除されるべきであり, そうであるとすると,被告人と犯人との同一性は否定されるなどと主張するが,前記第 1で検討したところからすれば,所論はその前提を欠いており採用できなし。


7     まとめ

以上のとおり,原判決に事実の誤認はなく,論旨は理由がない。



第 3    法令適用の誤りの主張について

論旨は,本件各犯行に係る被告人の各行為が各犯罪の構成要件に該当したとしても,大飯発電所の再稼働により多数人の身体,財産等に対する重大な危難が迫っていたものであり,被告人はこのような危難を避けるためやむを得ずに本件各犯行に及んだものであるから,緊急避難が成立するのに,これを否定した原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。

しかしながら,所論が主張する現在の危難は,大飯発電所の再稼働後に,大地震,大津波等により大飯発電所に相当規模の事故が発生することを前提としているところ,本件各犯行の当時,そのような事故は発生しておらず,ごく近い将来に確実に発生することも予測されていなかったものと認められるから,危難が現に存在しているとも,間近に押し迫っているともいうことはできず,現在の危難は存在しなかったものと認められる。また,本件各犯行はいずれも大飯発電所再稼働による危難を避けるために有効な避難行為であるとは到底いえず,「危難 を避けるため,やむを得ずにした行為」には当たらないというべきであり,原判決もこれと同旨をいうものと解される。

したがって,被告人の本件各行為について緊急避難の成立を否定した原判決に誤りはない。

論旨は理由がない。


第 4    結論
よって,刑事訴訟法 396条により本件控訴を棄却することとして,主文のと おり判決する。


平成 2  6 年 2 月 1 3 日
名古屋高等裁判所金沢支部第 2 部
   裁判長裁判官            彦坂孝孔

      裁判官            藤井聖倍

      裁判官            寺尾亮



これは謄本である
平成 2 6 年 2 月 1 8 日
裁判所書記官奥秀之


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